大阪府立大學

平成27年度 學位記授與式式辭

更新日:2016年3月25日

はじめに

 今年の冬は、前半とても穏やかで、その一方後半は、とても厳しい冷え込みでした。しかし、この數日、ようやく春らしい季節になってきて、各地から「開花した」という桜の便りが聞けるようになり、キャンパスの桜も咲きはじめました。

 本日ここに、多數のご來賓のご臨席を賜り、學位記授與式を挙行できますことを心から感謝申し上げます。

 卒業?修了される皆さん、おめでとうございます。大阪府立大學を代表してお祝いのことばをお贈りします。皆さんの成長を願いつつ、ここまで勵ましてこられたご家族や指導教員の皆さまにも併せてお喜びを申し上げる次第です。

 本學が4年前に學士課程を改革して、學域?學類制という教育システムにしたとき、私は現代システム科學域の學域長でした。學域長として、多くの教職員とともに、國への申請手続きやカリキュラムの設計を行い、またいろいろな高等學校や予備校へも入試説明出向いていたので、本日、改革後に入學した學生の多くが、初の學域卒業生として「世界に翔いてくれる」ことを感慨深く、また本當に嬉しく思っています。

三つの話

 さて、本日の式典において、三つのお話をさせていただきたいと思います。

 一つは、今も言葉として使った「世界に翔いてほしい」、二つ目は「しなやかにしたたかにあってほしい」、三つ目は「母校にこれからも気軽に帰ってきてほしい」ということです。

1、世界に翔く(はばたく)地域の信頼拠點

 本學の理念は、「高度研究型大學―世界に翔く地域の信頼拠點―」です。この理念は

「公立大學としての存在意義を高め、地域に信頼される存在となるためには、地域社會や産業界を牽引する人材が本學から持続的に巣立ち、広く世界に翔く(はばたく)ことでその証(あかし)を立てなければならない。それらを追求するため、日本のみならず世界の研究型大學の変革の起點となり、地域に信頼される知の拠點となる」

ということを掲げたものです。

 皆さんが學んだ大阪府立大學は、地名的にも「翔く」というにふさわしい場所にあります。メイン?キャンパスである中百舌鳥キャンパスは、南海高野線のなかもずと白鷺という鳥の名稱が付いた駅の近くにあります。羽曳野キャンパスがある「羽曳野」という地名は、日本書紀によると日本武尊(やまとたけるのみこと)が亡くなって白鳥になり古市に飛來し、その後、羽を曳くように飛び去ったということからついたそうです。りんくうキャンパスは、まさに「空の玄関口」にあります。そんな大學に入學して、勉學にいそしむうちにたちまち年月が流れ、本日、立派に成長して、この地から飛び立とうとしているのだと思います。

また「世界」というのは、「日本」に対する「海外」ということだけではなく、「學界」に対する「産業界」や「公共機関」のこともあるでしょうし、「理論を取り扱う大學」から「実際の地域課題を扱う実業界」のこともあると思います。そのような「世界」に飛び立つ、本日卒業されるみなさんや、また留學生や大學院に新たに進學される方には「大學いや日本の外に出向いて仕事や研究発表をしてほしい」と願っています。

 中には自分の未來の大きな夢をもっていて「すぐには翔かない」、また、まだ未來の自分のイメージを持てずに「大きくは翔けない」という方がおられるかもしれませんが、「すぐではなくてもいい、小さな一歩でもいい、大阪府立大學で學んだことをもとに計畫をたてて、翔く志をもっていてほしい」こういう幅のあるメッセージだと受け取っていただきたいと思います。

 皆さんはヒナが巣立ちするときの動畫をテレビ番組でみられたことがあるでしょうか。何かおどおどしていて、飛び立つことをためらっているようなシーンを記憶していませんか。しかし、思い切って巣から飛び出した途端に見事に羽を広げて飛んでいく。私はそのシーンに感動します。そして、今、まさに皆さんが世界に翔こうとしていることに感動しています。

2、しなやかにしたたかに

 私が學生時代に、制御理論(揺れ?振動)を専門としていた恩師から「これからの時代は、“しなやかにしたたかに”だ」ということを何度か聞かされました。當時のクラスメートや研究室の先輩?後輩も不思議とこの言葉はよく覚えているといいます。「しなやかに」とか「したたかに」というのはどういう意味なのでしょう。

 現代社會では誰もが、外部から多くのストレスを受けています。そのストレスのすべてに対して真っ向から立ち向かっていくと、心身を持ちこたえさせることができません。當たり前のことだと思われるかもしれませんが、そこにはめりはりが必要です。

 知人の中に、すべての課題を短期間に解決しようとして働き続けた結果、どうにも立ち行かなくなり、體調を崩されるケースがありました。もし、皆さんが體調を崩すと、それは皆さんだけでなく、周りにもマイナスの影響を與えてしまいます。

 それではどうすればいいのでしょうか。

 私はいくつかのストレスはあえて受け流すという姿勢が大切だと思います。川辺の柳を思い浮かべてください。強い風が吹いてきてもそして吹き続けても柔らかい幹や枝が撓んで(たわんで)それをかわしていますよね。私はその動きが「しなやかさ」だと思います。そのように私は學びました。

 「撓む(たわむ)」一方で、押さえておくべきことを持つことも大切です。「したたかに」というと少しあくどい印象があるかもしれませんが、制御理論で言う頑健性(Robustness)というもので、私は、人生でストレスにさらされ、そのことにより多少揺れても「したたかさをもって、抑えておくべきところを抑えていれば、いずれ落ち著くべきところに安定する」と考えています。

 「しなやかにしたたかに」あってほしいのは人間だけではないと思っています。皆さんが社會に出て擔當する製品やサービスなども、「萬一部分的に不具合があっても全體としては問題がない」「仮にある部分に障害が起こっても全體としては問題がない」、そういう仕事をしていただきたいと願っています。

3、母校は「母港」でもある

 大學が地域の信頼拠點であるには、組織として長く続く安定感があってこそだと言われています。大阪市立大學との統合の話があって、皆さんには「母校がなくなってしまうのではないか」とご心配をおかけしていますが、たとえ、仮に名稱が変わることがあったとしても、教育カリキュラムが変わることがあっても、大阪府立大學はいつまでも皆さんの母校です。校友會という全學同窓會組織があり、大學と一緒になって活発に活動していただいています。そしてその活動はこれからも続きます。安心するとともに「いつでも」「気楽に」母校に戻ってきてください。

 大阪府立大學では、母校を覚えておける/思い出す機能をこれからもっともっと充実していきます。すでにある社會人大學院や生涯學習の講座、アントレプレナー教育のプログラムなどもさらに充実していきますし、卒業生向けメールマガジンの配信やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)による積極的な情報発信にも努めていきます。どうか母校の動きにもこれまで以上に関心を持ち続けてください。

 私たちは皆さんが困ったときに帰ってこられる母校でありたいと思います。また、大學が困っているときに助けに來てくれる皆さんであってほしいと願っています。

 ここ堺市は南蠻貿易の拠點でした。港灣都市です。母校は母なる港の「母港」でもある。ぜひ覚えておいてください。

まとめ

 以上、三つの話をまとめます。

 大學から「世界」に翔いて、多くのストレスの中でしなやかにしたたかに働き、機會があれば、いやぜひ機會を作って、大阪府立大學という「母港」に戻ってきて、そしてしばしの休息ののち、また世界に翔く。私たちは、そういうサイクルを大學に作っていきたいと思います。

 皆さんには、大學に戻って學ぶあるいは立ち寄るだけではなく、ときに講師をお願いするかもしれません。ときに地域連攜や産學連攜のコーディネーター役をお願いするかもしれません。ときに國際交流のアドバイザーになっていただくかもしれません。大阪府立大學が世界に翔く地域の信頼拠點になるために。

 以上をもちまして、お祝いだけでなく最後はお願いまでしてしまいましたが、本日から始まる皆さんの新しい生活における飛躍を期待して、式辭といたします。

學長 辻?? 洋

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